第17章 忘却
『違う…』
それは俺だけじゃなくて、
松潤も感じた違和感...
慌てた松潤は、
松「よかったよ...たいしたことなくて...
顔見て、安心した...なあ~」
と俺に振ってきた。
言いようのない不安と、
何かとんでもないことが
起きてるんじゃないかという、恐怖で、
「...うん....」
そう答えるのが精一杯だった。
櫻「検査の結果、何もなかったら、
明後日には退院になるよ」
松「そうか...ニノなんか、
聞いたとき倒れそうだったんだ...
この世の終わりみたいな顔してて...」
ちゃかしたつもりの松潤の言葉にも、
櫻「大袈裟だよ...でも、
2人ともありがとね~
忙しいのにわざわざ...」
「......」
喉が貼り付いたようで言葉が出ない俺に、
松潤は
「俺、飲み物でも買ってくるよ...
2人になりたいだろ...」
と笑ったが、どこか、ひきつっていて、
翔さんにつっこまれてしまう。
櫻「ねえ~...さっきから、変なんとけど。
どうして、俺とニノを2人にしたいの?」
その言葉は、俺たちを一瞬で凍り付かせた。
松「翔さん...冗談だろ?.....ニノのこと..」
櫻「ニノ??ニノがどうした?」
「…翔…さん…」
俺に優しい笑みを向けるこの人は、
俺の知ってる櫻井翔ではなくて……
とんでもないことが起きていることに気付いていたけど、
俺はただ、
成すすべもなく、立ち尽くしていた。
松潤が慌ててドクターを呼びに行く声が、遠くに聞こえた。