第16章 擦違

抱き締めると、堪えきれないとばかりに
嗚咽を漏らすニノ....

（そんなに泣くなよ...）

ニノがそんなに泣く理由が分からなくて、
俺は黙って震えるニノの背中を何度も撫でた。

子どもをあやす親みたいだ...

（親だったことはないけど..苦笑）

「泣くなよ…」

ニノはしばらく俺の胸で泣いていた。


どれくらいそうしていただろう。
ニノは俺からゆっくり離れて顔を上げた。

二「...大野さんには..
俺は知らないことにした方がいいのかな～」

「それはニノが決めればいいよ。
大野さんは『言うな』とも言わないし...
ニノが急に不機嫌になった訳も、
何となく分かってるよ...」

二「....そっか..

翔....俺で....いいの？」

ニノのその言葉に、俺は驚いた。
ニノがそんなこと思ってたなんて...

「カズ..？」

二「だって、そうでしょ？？
こんな俺の、どこがいいの？？」

「どこって...」

二「こんな子どもみたいな、
カッコ悪い俺に比べて、
大野さんは何でも出来るし、大人だし..
....俺が大野さんに勝てることなんて、
何にもない....」

（なんだ...そんなことか...
ニノの涙の理由が分かった....
それで、泣いてたのか....）

俺はそんなニノがたまらなく愛しくて、
もう一度胸の中に引きずり込んだ。