第16章 擦違
〔二宮side〕
ホントは気づいていたんじゃないか..?
大野さんが翔さんのこと、
メンバーとして、
以上の気持ちで見ていること。
仕事中もミーティング中も、
翔さんの横顔を、
熱い眼差しで見ていたこと。
同じ目で見ている俺だからこそ、
大野さんもそうだったって、
気づいていたのに気づかない振りを
してたんじゃないのか....
櫻「大野さんにはあの日、
大野さんの気持ちには応えられないこと、
俺の気持ちを...しっかり伝えて...
大野さんは分かってくれたよ...」
「........」
櫻「カズを不安にさせることになって、
ホント...ごめんね...」
「翔、俺....」
やきもち焼いて、メンバーの前で
大人気なく不機嫌全面に押し出し...
子ども過ぎる自分が情けなくて、
泣けてきた。
それに引き替え、翔さんが大人で、
カッコ良すぎで、
もう、消えてしまいたいと思った。
俯いたまま肩を震わせて泣く俺を、
翔さんは優しく抱き寄せてくれた。