第16章 擦違
マンションに着いて1人になると、
俺はどうしてあんな態度を
取ってしまったんだろう...と、後悔した。
みんなの前で、あからさまに、
翔さんに対してひどいことをした。
言ってくれなかったことは悲しかったけど、
それは、今も変わらないけど。
理由も聞こうとしないで、あの態度は、
大人気なさすぎだった。
「はぁ~...」
思わずため息が出た。
その時、チャイムが鳴った。
モニターには、大好きな人...
追い掛けて来てくれたんだ...
そう思ったら泣きそうだった。
「...開けたよ」そう言うと、翔さんは、
「ありがとー。」と笑った。
俺は、玄関を開けたまま、
彼が来るのを待った。
エレベーターが止まり、
翔さんが降りてきて俺に気づいた。
櫻「カズ!!待っててくれたの?」
そう言って笑った翔さんに飛びついて
『さっきはごめんなさい』そう言いたかった。
でも、俺は、
「...入って...」
それだけ言うのが、精一杯だった。