第16章 擦違
〔二宮side〕
金曜日って、あの日だ。
俺が鹿児島のロケから帰った翌日。
『友達と会う』といった翔さんに
無理を言って約束した日。
『美味しい』って、俺が作ったシチューを
おかわりしてくれた日....
あの日。
俺と会う前、一緒だったのは
『友達』じゃなくて、『大野さん』だった。
それなら、何でそう言ってくれなかったの?
お互い、メンバーと2人でどっか行くの、
責めたことも、行くなと言ったこともない。
俺たちは、そういう暗黙のルールを
守ってきた。
お互いのことを信じているからこそ、
の尊重であり、自由だった。
なのに...どうして、隠したの??
何で、嘘をついてまで
秘密にする必要があったの??
俺の中で生まれたたくさんの疑問が、
黒い嫉妬と疑惑を生み、渦をなしていく。
みんなの前なのに、あからさまに
態度に出してしまったこと、
我ながらバカだとは思ったけど...
それ程、この時の俺は余裕がなかつた。
相葉さんはそんな俺の心情は知らないだろうが、
何とか気持ちを解そうとしてくれたんだろうな…。
相「俺んちでゲームでもやる?」
と明るく言ってきた。
それが嬉しかったけど、
ありがたかったけど、
「今日はやめとく...また今度...」
と言った。
それが精一杯だった。