第16章 擦違
ニノが既に入った後の風呂場は、
暖かい湯気が残ってた。
その中で、俺は心がざわつくのを感じていた。
大野さんに好きだと言われたことを、
ニノに話さないと決めたのは
俺自身な訳で.....
それが、大野さんに対する
誠意だとも思ったし、
ニノだって、自分の留守に、恋人が告られ、
それが信頼している仲間だと知ったら、
少なくとも嬉しい訳はない。
それが正解だと思って、
胸の中に封印してしまおう...と。
それなのに、なんの疑いもなく、
真っ直ぐに見つめてくるニノ....
好きだって、全身で伝えてくるニノ...
それに引き替え、
何だか自分が凄く汚れているような気がして。
....苦しかった。
大したことじゃない....
って言い聞かせても、心のざわつきに、
どうしていいのか、分からなくなっていた。
ニノに会うまでは、大丈夫だと....
そう思っていたのに...