第15章 秘密
どのくらい歩いたんだろう。
少し頭が冴えてきた頃、
俺はタクシーを拾って
自分のマンションに向かった。
静かな車内で、
ひとり残してきた大野さんのことが、
気になっていた。
やっとのことで秘めていた思いを打ち明け、
でも、受け入れてもらえず....
今一人で、どんな気持ちでいるんだろう...
そう思うと、
胸が締め付けられるような気持ちになった。
仕舞い込もうとしていた気持ちを吐き出し、
でも拒絶された大野さんの思い....
今まで見てきた、
大野さんのいろんな表情や仕草が...
『しょおちゃん』と呼ぶ声が、
頭の中で、大きな渦を作り、
俺に向かってくるようで...
そんな気がしていた。
そして、やっぱり浮かぶのは、
ニノの顔。
笑った顔、泣いた顔、すねた顔、
テレた顔、怒った顔....
俺に『好きだ』というニノの瞳....
俺は、はっきり答えを見つけた。
明日、大野さんに話そう。
ニノじゃなきゃ、
もうダメなんだと.....