第14章 盲目
今度はニノは拒絶しない。
「具合悪いって言うから、心配したんだ...」
耳元で言うと、ニノは、
ニ「ごめんごめん...
あの場を抜ける口実だよ~」
と笑った。
「抜けるって…...俺、カズが戻ってくるの、
待ってたんだよ...」
後半、ちょっと甘く囁きに変えて言ったのに、
ニノは、気づかないのか、
今度も俺の指を解きながら、振り返らずに離れる。
「そう...?めっちゃ盛り上がってた
みたいだけど...」
ニノはそう言いながら、
キッチンに入って行ってしまう。
俺はここで初めて、
ニノの機嫌が悪いと気付いた。
(なんなの...?俺、何かしたかな...??)
訳が分からないけど、
機嫌を直してもらいたくて、
思い切って言ってみた。
「何か怒ってるの?」
するとニノは、俺の顔を全く見ずに、
冷蔵庫を開け、ドアの向こうに
屈み込んで俺から隠れるような形で、笑った。
ニ「何言ってんの~?
怒ってなんか、いませんって...」
(それが、怒ってるって言ってんだろ!!)
わざと距離を取るようなニノの態度に、
俺は少しむかついて、ニノの側に行き、
冷蔵庫のドアを閉めた。