第13章 幸福
荷物もそのままで、着いて直ぐとは、
何とも飢えた動物みたいだ。
翔さんは俺の汗ばんだ髪を
優しく撫でてくれる。
この日、初めて肌と肌を合わせた。
彼は俺を見つめながら、
「カズ...愛してる..」
と、優しい低音で囁いた。
俺は、彼の首を引き寄せ、
そっと唇を重ねた。
そして、離れて言うんだ。
「翔...俺も、愛してる...」
自分でも無意識に、涙が溢れて落ちた。
その涙を唇で拭ってくれた翔さんが、
櫻「やっと、言ってくれたね♡」
と目を細めた。その笑顔が、
俺の胸を打ち抜く。
さっきより、
1秒前より、
彼が好きだ。
『この幸せが、
どこまでもつづきますように..』
その言葉は、
彼には聞こえていないはずなのに、
翔さんは俺を強く抱きしめてくれた。