第13章 幸福
〔翔side〕
春とはいえ、3月の始めの軽井沢は、
まだ肌寒く、厚手のコートが丁度よかった。
先輩の別荘は、
軽井沢の中心から南の方に来た、
山の中にあった。
近くには、
芸能人の別荘がいくつもあるらしい。
別荘は山の斜面を利用した、
大きなバルコニーが特徴の
おしゃれな建物だった。
リビングの大きな暖炉に大興奮のニノ。
二「翔!!見てよ...暖炉なんてカッコいいよね♪
寒い時期でよかったね~♡
暖炉、つけてみよーよ!」
「いいよ...」
俺はニノの隣に行き、
一緒に暖炉に薪をくべた。
暖炉といっても、最新式で、
着火は、自動...
カチカチと軽い音がして、
薪の下に火が見えた。
薪に火がつき、
しっかり暖炉として機能するまで、
俺たちは前に座り、
オレンジの揺らめきを、じっと見ていた。
俺が、ニノの肩に手を回すのと、
ニノが俺にもたれてくるのが、
ほぼ同時で...
俺たちは無言で、
吸い寄せられるように、キスをした。
離れては見つめ合い、また口づける。
次第に舌を絡め、
お互いの息遣いが聞こえる頃には、
もう日が沈み、2人を照らすのは、
暖炉のオレンジだけになってた。