第17章 初恋がロリコン男である件について【バク】
「何を言っているんだ?二人共…」
「こっちからしたら、テメェが何言ってんだって感じだけどな」
「バク様は仕事一筋でしたので、ミア殿の周りが見えていなかったのでしょう。きっと」
「ただのリナリーバカだからだろ」
いや待て。
そんな会話はいいから、そのことを詳しく話せ。
「ミアは仕事人間だけど、女だって捨てちゃいねぇ。尚且つ周りを見て立ち回れる機転の良さと、人望を持てる性格の持ち主なら、男の一人や二人は黙っておかねぇだろ。ああいうのを"いい女"って言うんだよ」
「歳を重ねて益々美しくなられましたからなぁ…男女共に人気で御座いますぞ、ミア殿は」
「…いまいちわからん…」
フォー達の言い分はわかるが、いまいちそれがミアと直結しなくて首が横に曲がる。
仕事ができるのはわかる。
他人に慕われているのも、多少は。
だがそんなに目を見張る程の美人か?
この間風邪の具合を看に行った時は、思いっきり素っぴんを晒していたぞ…別に見られなくはない顔だったがな。
「こりゃアレだな…近過ぎんだコイツは」
「然様で御座いますな…」
悟った顔で頷き合うフォーとウォンに、居心地が悪くなる。
なんだ、自分達だけが知ったような顔をして。
俺だってお前達の知らないミアを知っているんだぞ。
「いい機会だ。離れてる今のうちに、ちゃんと目をかっ開いて見てみるこった」
「フン。見るも何も、ミアのことはよく知っている。あいつは…ゴホッ!」
「ああ、バク様っそれ以上は体に障ります。休まれて下さいっ」
ウォンに急かされるままに、再びベッドの中に潜り込む。
騒がしいフォーを連れてウォンが出て行ってくれたお陰で、ようやく周りに望んだ静寂が訪れた。
…だというのに、その静寂が余計に色々なことを考えさせてしまう。
周りで寄って集ってミアをベタ褒めしおって…そんなにいい女か?
昔は俺の名前の発音も上手くできなくて、かと思ったら姉のような顔をしては何かと指図するようになって…
「…ケホ」
そう言えば…いつからだったか。
ミアが、何かと俺の前で背伸びをするようになったのは。