第17章 初恋がロリコン男である件について【バク】
「さっさと目の前の仕事を片しなさい。このロリコン意外性無し男」
「ろっ…い…!?」
本当、無駄な仕事を増やしてばかりで忌々しい。
その苛立ちがうっかり口から漏れたらしく、さくりと胸を突き破り精神の吐血をしたバクは力無く沈んだ。
「あ。」
「死んだ?」
「死んだな」
「バク様ー!?!!」
スイッチが切れたみたいに完全に床に伏したバクに、ウォンの慌てた雄叫びだけが響き渡る。
こんな光景も見慣れたものだ。
証拠に蝋花達は一切動揺していない。
毎回親身にバクを労るのはウォンだけ。
その忠誠心は感心するけど、ね。
「これでもう大丈夫ね。フォー、念の為今日は一日このバカに張り付いてて」
「了解」
「ウォンには後でリナリーに送った見舞い品の詳細、伝えるから」
「か、畏まりましたっ」
死んでるバクを余所に、さくさくとその後のことを進める。
仕事は山のようにある。
一分一秒だって惜しい。
全く。
我ながらよくこんな男に惚れていたと思う。
こんな、支部長としての威厳もないロリコン男なんか。
…一つ訂正。
惚れて"いた"んじゃなくて、惚れて"いる"。
現在進行系なことが、問題なのだ。