第13章 ※◇◆Summer to spend with you.
「ラビッ変なこと言わないでよ…!」
「なんさオレが悪ィのっ?頼まれたことしただけだろ!」
「だからってっぜ、全裸、とかっ」
「科学班なら飲み会でよくやってんだろ?イッキからの裸踊りとか」
「私はしてません!」
ぽかすかと赤い顔で拳をぶつける南に、ラビは心外だとばかりに反論する。
そんな二人を前に、リーバーは赤い自身の顔にぺたりと片手を当てた。
「あー…わかった。大体のことは呑み込めたから。落ち着け、お前ら」
「一人大人ぶっても駄目だかんな。はんちょだって南の裸見られると思って出てきたんだろー」
「ばッ…んな訳あるか!」
「っ」
「南も誤解するなよ!」
「はんちょのええかっこしー。色々取り繕ったって、はんちょもただの男なんさな〜」
「ラビ!お前なぁ…ッ」
確かに耳まで赤く染めたリーバーに、いつもの威厳は感じられない。
ここぞとばかりにからかうラビの手駒となっている彼の姿は珍しい。
しかしそのネタが自分の裸となれば別だ。
羞恥で堪らず一歩、南が二人から身を退いた時だった。
───ドォンッ!
背後で響く巨大な花火。
暗い孤島をも一斉に照らす強い光に、思わず目が向く。
振り返れば、照らされたビーチで寛ぐ科学班や他団員達がはっきりと見えた。
キャンプファイヤーを囲んで笑っている彼らの目は、皆夜空へと向いている。
輝く大華に目も暮れず言い合っているのは、ラビとリーバーくらいだろう。
「大体なんだその嘘。つくならもっとマシな嘘つけッ」
「なんさ、元はと言えばはんちょがこんな所で仕事──」
「班長。ラビ」
言い合う二人の腕を引く小さな手。
呼び掛ける声に、二人の声が止まる。
「嘘がなんだとか、仕事がどうだとか、今はいいから」
目を向ければ、其処には花火を背に立つ南がいた。
「一緒に花火、見ましょう」
笑って誘う南に、やがて二人は無言で視線を交えた。
ここで尚も言い合う程、互いに野暮ではない。