第13章 ※◇◆Summer to spend with you.
「…今度は、海で遊ぼうね」
「ああ」
「ウォータースライダー、一緒にしたい。椛達みたいに」
「考えとく」
「ビーチでバーベキューもしたいな。南達みたいに」
「仕方ねぇな」
「カッキーや鬼鮫さんとも夏遊びしたい。あ、藻裾ちゃんや暁の皆も」
「………」
「そこだんまりしないで。渋い顔しないで。アレンと遊ぶよりいいでしょ?」
「………偶々居合わせたらな」
「偶々ね」
「偶々だ」
「…約束だよ?」
「…なら雪も約束しろ」
「何?」
「他の奴と見比べずに、これ選んで来い」
これと言った神田の指が、雪のビキニの紐を緩く潜る。
「…ん。わかった…じゃあユウも水着着てよ。約束ね」
約束と呟いた雪の小指が、神田の小指に緩く絡む。
前に教えてもらったことがある。
雪の国で伝わる、約束事を誓う時の儀式のような遊びだ。
「指きーりげーんまーん」
ふにゃりと楽しそうに、歌うように雪は絡んだ小指を揺らした。
「嘘つーいたーら針千本飲ーます」
「拷問かよ」
「言葉の綾だよ、綾」
「約束なんだろ。嘘ついたら針千本な」
「え。」
「指切った」
「ゆ、指切らない。別の方法にしようっ」
「聞かねぇ。撤回は無しだ」
「えええ…!」
有言実行が座右の銘である神田ならやり兼ねないと、雪の口から悲鳴が上がる。
予想通り過ぎるその反応に、神田は小さく噴き出した。
「約束守ればいいだけだろ。出せるもんは出せ。でも露出はするなよ」
「難解な水着!」
パラパラと散る夜空の大華に照らされるは、二つの寄り添う人影だけ。