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廻る世界の片隅で【Dグレ短編集】

第12章 ⓇMerry christmasの前にⅡ【アレン】



アレンくんと並んで帰路を辿る。
さっきまで弾んでいた足取りは、少しせっかちだ。

早く帰って、体を綺麗にしなくっちゃ。
急にあんなお誘い受けてしまったから、何も準備していない。
下着、どれにしよう。
可愛いのがいいかな、セクシーなのがいいかな。
アレンくんが私の部屋に来るなら、部屋も掃除しておかないと。
でもあんまり張り切ったら、待ち構えてたみたいで退かれないかな。
自然に…ってアレンくんとそういう雰囲気になったことないから、自然がわからないんだけどっ

ああもうどうしよう…!



「椛」



名前を呼ばれる。
慌てて顔を上げれば、アレンくんが私を見て控えめに笑っていた。



「凄く難しい顔してる」



い、いけないまた…っ
すぐにこうして考え込んでしまう癖、どうにかしないとっ



「ご、ごめん」

「ううん。それより見て椛。あそこ、ステージ準備してますよ。あれもクリスマスの催しかな」



また何気ない様子で声を掛けてきてくれるアレンくんの優しさが、胸に沁みる。
促された先を見れば、本当にステージを街中の広場に作り上げていた。
でももう夕方なのに…今からライヴ?



「クリスマス限定のチャリティーコンサートらしいですよ」

「へぇ…素敵な催しだね」



ステージ横に掲げられた看板には、大きく"チャリティーに協力を!"の文字が。
どうやらコンサートで人を集めて、お金の寄付じゃなくギフトの寄付を募っているらしい。
サンタの来ない子供達の元へ届けられるものなんだとか。
クリスマスらしいチャリティーだなぁ。



「ギフトってなんでもいいのかな?」

「生物でなければなんでもいいそうですよ」

「ふぅーん…」



洋服とか小物とか、そういうものなら寄付できそうだけど…。



「コンサート、観ますか?」

「えっ」



足を止めてまじまじと看板を見ていれば、思いも掛けない誘いに声が上がった。



「でも、帰るんじゃ…」

「うん。コンサートは夜らしいですし。ジェリーさんの夕飯を食べて、また此処に来れば充分間に合いますよ」



で、でも…それって、その後の用事は…どう、なるの…なんて言うとがっついてるみたいで言えないけど。

うう、恥ずかしい…でも気になる。
どうやって聞こう?

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