第4章 ◆入れ替わり事件簿(神田)
思わず顔を覆っていた両手を話して、恐る恐るアレンと名乗る自分自身を見る。
見えたのは、やっぱりどう見てもそっくりさんの域を超えている私。
そんな私がびしっと私を指差して…ああややこしい。
とりあえずアレン(仮)に言われるまま、自分へと目線を落としてみる。
「…?」
見えたのは、見たことのない自分の服装。
思わず目を瞬く。
シャツにベストにリボンタイをした、きちんとした身形の服。
…これ男物の服?
というか両手に手袋とかしてたっけ。
左手になんだかちょっぴり違和感が──
「ガァッ」
「…ティム?」
パタパタと飛んできた金色のゴーレムが、座り込んだままの私の膝に乗る。
長い尾は手持ち鏡を器用に持っていて、ずいっと私の顔に突き付けてきた。
何?
「……………へ、あ?」
二度目のリアクションの失敗。
思いっきりマヌケな声が自分の口から漏れる。
それは聞きなれた自分の声じゃなく、少年独特の声。
突き付けられた手持ち鏡に映っていたのは。
真っ白な髪。
銀灰色の薄い色の目。
額から頬に走るペンタクル状の奇妙な痣。
とてつもなく個性的で、一度見たら忘れない顔。
「……アレ…ン?」
白髪の少年エクソシスト。
その人そのものだった。