第3章 ◆優先順位(神田)
「え、と……ありがとう…」
「…別に」
赤い顔のまま、おずおずと恥ずかしそうに礼を言う。
そんな月城のその姿だけで、"欲"より強い"想い"が頭に浮かぶ。
──大事にしたい
キスだけで精一杯なこいつの姿に、それ以上のことを無理矢理する気は起きなかった。
身体的欲求はある。
月城の体に触れる限り、そういうもんは無くならないと思う。
だがどうやら今の俺の"欲"が向いているのは、体以上にこいつの心に向けてらしい。
今俺が優先したいもんは、体よりもこいつの心だ。
そんな自分に、身体的欲求は満たされていなくても、気持ちはどこかスッキリとしたものに変わっていた。
──が、
「…何してんだお前」
「え?…ぃ、いや別に」
オイ待て。
なに枕で俺との間に盾作ってんだよ。
*優先順位*
(…やっぱ襲うぞコラ)