第6章 Merry christmasの前にⅠ【アレン】
「私、って…え、えぇえ…!」
「大丈夫、最後まできちんと頂く予定ですから。今日は一日、僕の為の椛でいてくれませんか」
ぼひゅっと音を立てて真っ赤に染まる椛の顔。
だからそういう反応は駄目ですって。
あんまり可愛い姿見てると、夜まで理性が保つかどうか……いえ理性なら自信あるんで頑張りますけど。
昨日だって、任務から疲れて帰ってみれば深夜なのに起きて僕を待ってくれていた椛。
僕に一目でも会いたかったから、とはにかんで伝えてきてくれた椛を自室に帰す気にはなれなくて、疲れた体をその柔らかい体に預けて眠りに落ちた。
おかげでぐっすり安眠できたけど…体には触れただけで、それ以上踏み込んではいない。
僕も男ですから。
椛の体に触れるだけ以上のことがしたい。
「え、えと…」
「駄目?」
「それは…っ」
「無理?」
「無理、じゃない、けど…」
「じゃあ下さい。椛を聖なる夜に」
握っていた手を引き寄せて、空いた手で腰を抱く。
こつりと額を重ねて優しく誘えば、椛は赤い顔を俯かせて……小さく、こくりと頷いた。
…本当、可愛くて堪らない。
「ありがとう、椛」
「…ん」
未だに俯いている顔を、そっと頬に手を添えて優しく持ち上げる。
吐息さえかかる距離にある唇に、もう一度キスを落とした。
「I cherish you.」
息衝く合間に、愛を囁いて。
* Merry christmasの前に*
(貴女に愛の口付けを)