第64章 嵐の夜に
3人だけの部屋に流れる沈黙。
俺も斗真も…必死に言葉を探した。
潤に話すつもりだった。
でも…こんな形で知られるなんて思わなかった。
天罰が…下ったのかもしれない。
潤「………そっか…」
斗真「潤ごめん。でも俺は…」
潤「言うな」
それ以上言うなと潤が斗真に手をかざした。
潤「何も聞きたくない。何も。1ミリも」
「潤。ちゃんと話すつもりだった。本当にごめんなさい。俺は…」
「………帰るよ。落ち着いたらこっちから連絡するから」
「………潤…」
斗真「潤待てよ…」
そのまま潤は…部屋を出て行く。
「………潤…」
その追いかけようとした。
でもその姿を見ると…出来なかった。
殴られるかと思った。
怒声を覚悟した。
でも。
潤の後ろ姿は…弱々しくて虚ろげで。
一気に歳を取った様なその背中。
「潤…」
バタンと閉まる扉。
遠ざかっていくゆっくりとした足取り。
「っっ…」
両手で口を抑える俺を斗真が後ろから支える。
「………斗真…」
斗真「うん…」
「………後悔するって分かってた。分かってた…」
斗真「………殴られて怒鳴られた方が…よっぽど…良かったな」
「うん…」
後ろから斗真に抱き締められながら、俺は潤を想って涙を流した。
終わった。
潤との関係が…音を立てて壊れていった