第64章 嵐の夜に
斗真「えっ、と…」
潤「何だよ。翔に用があるなら入って来いよ」
淡々とした潤の話し方に余計に冷や汗が流れる。
紙袋を後ろ手に持った斗真がゆっくりと歩いて来る。
潤「紙袋。見せろよ」
斗真「え?いや…」
潤「見せろよ斗真」
斗真に差し出す潤の手。
斗真が隠したままにしてると潤が無理矢理斗真の手から奪う。
俺はその様子を何もしないで見ていた。
潤「………何だこれ」
斗真「………ごめん」
潤「ごめんじゃねぇよ。何でお前が翔の服を持ってんだよ!斗真!!」
声を上げながら潤が紙袋を床に叩き付ける。
そして床に散らばる、俺の服や…下着。
そこで俺はようやく潤の元に駆け寄った。
「潤…聞いて」
潤「斗真に聞いてる」
「俺が泊めてって言ったんだよ。斗真は悪くない。俺の話を聞いて!」
潤「じゃあ聞くけどあの日俺に『もう無理』って言ったのはこいつが原因なのか?好きなのか斗真が」
「ち、違う!斗真は関係ない。違うよ潤…!」
潤「じゃあ…これは何だよ。この服と下着は何だよ。斗真の持って来たお前の服とお前の持ってた服の説明をしろ!今日俺と会わずに斗真と会おうとしてた理由を説明ろしろよ!!」
「………ごめんなさい」
潤「………」
「………ごめんなさい…」
潤「………」
潤の瞳から…静かに一筋涙が流れた。