第64章 嵐の夜に
ー潤sideー
どうやって帰って来たんだろう。
気が付けば俺は…家のリビングでぼんやりとソファーに座っていた。
真っ暗な部屋をぼんやりと見回す。
「………翔」
そう呼べば、
『潤どうしたの?』
今にでも聞こえてきそうな翔の声。
「翔…太陽…」
カウンターキッチンに飾った、この間のディズニーランドでの3人の写真。
この中の俺達の笑顔は本物だったのに。
上手くいくと…きっと元に戻れるって。
俺も翔も本気で思ってたのに。
1ヶ月も経たないのに。
どうして。
何があったのか。
どうして斗真を選んだのか。
聞く気力もないままここに戻って来てしまった。
「っっ、ふ…うぅっ…どうして…」
ポタポタと…写真に涙が落ちていく。
『潤。愛してる』
『離さないでね』
『潤』
『ねぇ潤』
『もう…潤てば』
『潤』
『潤』
「あぁぁぁーーーーっっっ!!!」
リビングにこだました俺の声。
誰も居ない。
もう二度と…2人が戻って来る事はない部屋で。
「うあぁぁぁーーーっっっ!!!」
写真を抱きな締めながら俺は叫び続けた。