第64章 嵐の夜に
「あれ…」
気が付くと…俺はいつの間に泣き疲れて眠っていたのか、ベッドで眠っていた。
寝室には俺1人。
そっと…斗真が居た場所をするりと撫でながら考える。
斗真と一晩過ごした場所。
斗真に抱かれたベッド。
昨日・今日と散々泣いて枯れ果てたのか、思い出してももう涙は出なかった。
潤と終わらせる為に。
無理にでも決別する為にここに来た。
こんな事をして後悔だらけだけど。
もう後には戻れない。
彼女に潤を返さないといけない。
寝室に足音が近付き顔を上げると、扉が開いて斗真が入って来る。
斗真「翔くん起きてたんだね」
「今起きたよ。ごめんね。泣き疲れて寝るなんて子供みたい」
斗真「それだけの事があったんだろ?」
「………」
斗真「大丈夫。口にしたくないんだったら聞かないから」
「ごめん…」
斗真「謝らないで。俺の事は気にしなくていい」
「ありがとう斗真」
斗真「いいえ」
優しく微笑んでくれる斗真。
「………斗真が居てくれて良かった…」
斗真「俺には…その言葉だけで充分だよ」
そっと抱き締めてくれる斗真の背中に手を回した。