第64章 嵐の夜に
「確かに俺も同じ事したかもしれない。でも…今回の事で…俺だけじゃない。息子も犠牲になってる。傷付いてるんです。息子は関係ない。子供まで居るのに寝取ろうなんて…そんな事も考えなかったんですか!?」
真央「………潤くんは貴方達を愛してる。それでいいでしょ」
「何…」
真央「奪ってやろうとした。でもやっぱり潤くんは貴方を選んだ。櫻井さんを愛してるって言った。『寝たのは間違いだ』って言われた。潤くんは貴方とやり直す事願ってるんでしょ。私じゃ駄目なのよ。私がずっと欲しかった物を貴方は持ってる。私じゃどう足掻いても貴方に勝てない」
「………」
真央「貴方の事大嫌いよ。でも…潤くんの愛した人だから認めるしかないの。もうそれでいいでしょ」
「よくない…良くないですよ!こっちは…貴方のせいで潤の傍に居るのが辛いんだ。潤と居ると貴方の顔が浮かぶ。離れないんだよ!苦しんでるのにもういいなんて勝手な事言うなよ!!」
真央「勝手なのはそっちよ!!幸せな癖に!!」
俺の気持ち。
彼女の気持ち。
もう、止まらなかった。
止まらなくて止まらなくて…
真央「彼と結婚したじゃない!子供産んだじゃない!私が手に入れられなかった物手にした!貴方が私から奪った後私は彼の…!!」
「何…」
涙を流しながら…彼女が言いかけて止まる。
「何…潤の…?何ですか…」
心臓が高鳴る。
嫌な予感がした。
ぎゅっと唇を噛む彼女の肩を掴んだ。
「言えよ!」
真央「………妊娠してたんです」
「………嘘…」
目の前が…真っ暗になっていった。