第64章 嵐の夜に
スマホの着信音でスマホをいじってた潤以外全員が鞄を探る。
鳴っていたのは俺のスマホで…画面を見るとドキッとした。
『斗真』
その名前に、俺は慌てて立ち上がる。
「ちょっとごめん」
スマホを握り締め、急いで楽屋を出た。
「もしもし…」
斗真『翔くん?』
廊下を歩きながら応答する。
斗真の嬉しそうな声。
それを聞くとまた罪悪感でいっぱいになる。
「ごめん…斗真」
斗真『………どうしたの?』
「斗真ごめん。もう会えない」
斗真『………』
「本当にごめんなさい」
斗真『俺があんな事したから?』
「違う。違うよ。俺…やっぱり潤じゃないと…駄目なんだよ」
斗真『………それでも良いって俺は言ったよ』
「分かってる。でもやっぱり俺は…潤じゃないと駄目なんだよ。潤がいいんだ。俺が…潤の傍に居たい」
そう言うと、暫く斗真は黙ったままだった。
斗真『………分かった。ごめん。ありがとう』
「ごめんなさい。斗真…ありがとう」
そう伝えると、電話は切れた。
斗真…ごめんなさい。
スマホを握り締め、俺は楽屋へと戻った。