第63章 修復
「太陽寝た?」
翔「うん。ぐっすり」
寝室の扉をそっと閉め、翔が戻って来る。
翔「昨日も楽しみ過ぎてあまり寝付けなかったしね。疲れたみたい。ホテル取ってて良かった」
園内に建てられたホテルの窓から見渡す景色。
夜のディズニーランドはまた違う顔を見せていた。
「翔」
翔「ん?」
「ちょっと…一緒に飲まない?」
そう言いながらグラスを差し出すと、少し考えた後に頷いた。
翔「1杯だけもらうよ」
俺の隣に腰掛けた。
飲んでいたワインを翔に注ぐ。
「乾杯」
翔「ありがとう。乾杯」
そう言って一口流し込んだ。
翔「楽しかったよ」
「俺も楽しかった」
翔「久し振りに…あんな笑顔の太陽見た気がする」
「………俺も」
翔「俺達の都合でこんな風になって…太陽が1番の犠牲者なんだって分かってるんだけど…」
「本当にごめん」
翔「………」
「翔。戻って来てくれないか?」
翔「………」
グラスを置き、そっと手を握ると翔が俯く。
「眠れない。翔が居ないと眠れないんだ。ぶち壊したのは俺だって分かってる。でも…戻りたい。戻って来て欲しい」
翔「潤…でも俺まだ…」
「頼むよ…翔…」
翔「じゅ、ん…」
俯いたままの翔の身体を抱き締めた。