第63章 修復
潤と彼女との一夜の情事。
きっと…俺と上手くいかない気持ちをどこかにぶつけたかった。
少しの間でも忘れたかった。
そのタイミングで彼女が潤に接触した。
もしかしたら他の誰かでも良かったのかもしれない。あの時の潤なら。
だからって許す事は出来ない。
俺と…斗真とのキスは?
俺の事を愛してると言ってくれた斗真。
その気持ちに…ほんの少し、応えたいと思った。
誰でもいい訳なんてない。
斗真だから。
彼だから…キスしたいと思った。
潤の言ってる事は…間違ってない。
俺には何も言い返せない。
潤「昨日電話したんだ」
「え…?」
潤「斗真が出た。『翔くんは隣で寝てる』って…言われた」
「斗真は…何も…」
潤「だろうね。きっとあいつ…俺から翔を奪うつもりなんだよ」
「………」
潤「翔だって…それ分かってんだろ」
「………うん…」
潤「なのになんでだよ…しかも今のこの時期に…」
「………縋りたかった…」
そう言うと潤が俺を見つめる。
「誰かに縋りたかった。抱き締めて欲しかった。何も言わずに…俺の苦しみ受け止めて欲しかった。斗真しか…居なかった。だから…斗真の家に行った。一晩…泊まった。本当にごめんなさい…」
潤「そこまで苦しませて…ごめん。全部俺が撒いた種だよ」
「潤…」
潤「翔。俺の事…まだ少しでも愛してる?」
「愛してる…愛してるよ。少しなんかじゃ…」
言葉を遮る様に、俺は潤に抱き締められた。