第63章 修復
「俺…」
ゆっくりと手を離しながら潤を見つめる。
潤は黙って俺の返事を待っていた。
「………斗真と…キスした。ごめんなさい」
潤「………」
潤が頭を抱えながらソファーに座り直す。
「潤と上手くいかなくなって…斗真…心配してくれた。俺の気持ちに1番寄り添ってくれた。『好きだ』って…言われた。だから俺…」
潤「もういい」
潤が俺に手の平をかざす。
「潤…」
潤「それ以上聞きたくない」
「………」
俯いたままの潤の隣に黙って腰掛ける。
潤「ひとつ…聞いていいか」
「何…?」
潤「離婚するって言ったのに思いとどまった理由は…斗真が原因?」
「………」
答えられなくて…黙って潤を見つめるしか出来ない。
潤「斗真とキスした罪悪感が理由?俺と似た様な事したから俺の事責められないって?だから?」
「………」
潤「それとも何?俺は真央とセックスしたんだからキス位は良いだろうって?」
「そんな事…そんな事思ってない!」
潤「だったら何で斗真とキスしたんだよ!!」
「それ、は…」
潤「………セックスより…キスの方が重い事だってあるんだよ。翔」
潤の言葉に…俺は返す言葉を見失ってしまった。