第63章 修復
ー潤sideー
「………」
ツーツーという音がいつまでも鳴り続ける。
耳に当てたスマホをいつまでも手放す事が出来ずに俺はリビングで立ちすくんでいた。
翔と…斗真が一緒に居る。
数時間前まで一緒に仕事してたのに。
翔は…何も言わなかった。
「どうして…」
仕事が終わるとさっさと出て行ったのは斗真に逢う為?
『隣で寝てる』
斗真の言葉が頭から離れない。
「何で…何でだよ…!」
こんな気持ちだったのか。
別れた後。
直ぐに俺と真央が付き合い始めたあの時の翔の気持ち。
「別れてない…まだ別れてないのに」
またやり直せる様にする為の別居だと思ってたのに。
俺達はまだ夫婦なんだ。
それに…真面目な翔が簡単に斗真に許す筈ない。
「嫌だ…嫌だ…!」
もう一度翔の携帯に電話をする。
けれど…その電話に翔も斗真も出る事は無かった。