第63章 修復
和「翔さん…」
眉を下げながら涙を濡らすにのを顔を持っていたハンカチでで拭いた。
「大丈夫だよ。離婚はまだしない。だから泣かないで」
和「………ほんと?やり直すの?」
「………もう少し話し合おうと思って。だから…直ぐに離婚はしない」
和「………よかったぁ…!」
笑顔になったにのがギュッと抱き締めてくる。
俺も…そっとその背中に手を回した。
「でも、まだ離婚しないって決まった訳じゃ…」
和「それでも…!嬉しいんだよ。本当に…よかった…」
「………にの…」
和「潤くんの事許せなくても…きっと話し合えば何とかなる。何とか…なって欲しいよ…翔さん」
「………うん」
ほんの少し、離婚を思い留まったのは…斗真とキスしたからだなんて…勿論言えなくて。
にのにも申し訳なかった。
和「本当に…ごめんね翔さん」
「大丈夫。にのとまで…仲違いしたくない。それに…俺でもにのの立場だったら言えないかもしれないから」
和「ありがとう。本当にごめん」
「いいって。大丈夫」
和「うん」
ようやく俺達は笑顔になれた。
にのも鞄を掴み、俺と手を繋いだ。
和「帰ろうか」
「うん」
手を繋いだまま…俺達はスタジオを後にした。