第63章 修復
「何で…言ってくれなかったの」
和「………俺が潤くんに言ったんだよ…墓場まで持って行けって…」
「墓場まで…」
和「だって…あんな事…翔さんの耳に入ったらどこまで傷付くか分からなかった。翔さんが傷付くの見たくなかったんだよ。でも俺からでも話せばよかった。まさか…記者に知らされるなんて…!」
にのは悪くない。
そんな事分かってる。
でも。
もしにのや智くんから聞いてたら。
潤から直接聞いていれば。
そうすればもっと違う結果になっていたのか。
そう思うとどうしようもない気持ちになる。
にのが悪いわけじゃない。
でも記者に聞くよりにのに聞いた方がどんなにマシだっただろう。
そう思うと…涙が零れた。
和「翔さんごめんなさい。翔くんと潤くんにやり直して欲しかった。別れて欲しくなかったんだよ…!お願い許して…!」
「………悪気があったんじゃないのは分かってるよ。でも…整理付けないと」
和「翔さん…」
にのの瞳から零れる涙が掴まれた手に落ちる。
「俺の事考えてくれたのは分かってる。ありがとう。でも…何で言ってくれなかったの…」
和「ごめんなさい…」
握られていたにのの手を静かに離した。