第63章 修復
斗真『もしもし翔くん?』
少し驚いた口調の斗真が直ぐに応答してくれた。
「斗真。どうしたの?」
斗真『いや…うん。どうしてるのかなと思って…』
「うん…」
斗真『声…聞きたくて』
斗真の優しい声。
俺は寝転んだまま、斗真と会話をした。
「この間逢ったばっかじゃん」
斗真『好きな人とは毎日逢っても足りないんだよ。特に翔くんなら』
「………ありがと」
『愛してる』
キスする直前、そう言われた事を思い出した。
俺に下心はない。
潤以外と考えた事ない。
けれど。
斗真の優しさが俺の心を癒してくれた。
ほんの少し、潤との事忘れる事が出来た。
斗真『………また…逢えないかな』
「………斗真。でも…」
斗真「………逢いたい」
「俺の気持ちは…話した。変わりはないよ…」
斗真『それでも構わないって言ったよね』
「でも…」
斗真『俺を利用して。翔くん』
「斗真…」
駄目だと…はっきり断れない自分が居る。
駄目だ…断らなきゃ。
斗真『………いつ休み?』
「………来週の木曜…」
斗真『分かった。予定入れないで。また電話するから』
そのまま電話は切れてしまった。
「………どうしよう…」
スマホを置いた後、俺はいつの間にか起きていた虎鉄をギュッと抱き締めた。