第63章 修復
「う、ん…」
寝付けなくて寝返りを打つ。
ふと、目を開き、天井を見つめる。
家を出るまでは毎晩見ていた天井。
付き合ってた頃、潤と一緒に眠ったベッド。
声を出さない様に気を付けながら愛し合ったベッド。
潤と別れて泣きながら眠ったベッド。
沢山の思い出がこのベッドには詰まっていた。
何で…潤と別れたりしたんだろう。
あれが無ければ潤と上手くいかなくてもあんな事にはならなかった。
俺だけの勝手な不安で嫌がる潤に別れを告げた。
まさかあんなに早く恋人を作るなんて思わなかったから。
しかも…女性。
潤がした事…元を辿れば俺にも責任があるんだ。
でも…許せなくて。
憎くて。
俺を裏切った潤が憎い。
俺が居ない事に付け込んで潤に言い寄った彼女が憎い。
枕元で眠る虎鉄をそっと撫でながらため息を付いた。
「やり直す事…出来るのかな…」
憎いけど…でも愛してる。
傍に居たい。
ため息を付いて目を閉じると枕元に置いたスマホが鳴る。
見ると斗真からメッセージが来ていた。
斗真『翔くん時間があったら連絡して』
時間を見ると日付が変わる少し前だった。
いつもならまだ眠らない時間。
俺は…導かれる様に通話ボタンをタップした。