第10章 誕生
ー潤sideー
記者「それでは松本さん。最後に映画の見所をお願いします」
「はい。世代を越えて楽しめる冒険活劇になってますので是非劇場まで足を運んで頂けたらと思います」
記者「はい。ありがとうございました」
「ありがとうございました」
今日最後の取材が終わり、俺は楽屋に戻りながら大きく伸びをした。
宮川大輔「ほんま疲れたわー」
一緒に取材を受けていた宮川大輔さんもかなり疲れてるみたいで、眼鏡を外し、目頭を押さえた。
「お疲れ様です」
宮川「でもほんま潤は凄いわ。この他にレギュラー番組とか歌番組の収録もあるんやろ?俺より疲れてんのに嫌な顔一つせんと。尊敬するわ」
「いやいや。大輔さんだって忙しいでしょ」
宮川「でもほんま俺疲れてたら顔に出るからなー。アイドルって凄いわ」
「ははっ。ありがとうございます」
話しながら楽屋に向かって歩いてると、向こうからマネージャーが走って来る。
潤マネ「松本さんっっ…!!」
宮川「びっくりした。何やねん」
「どうした?」
潤マネ「翔さん…翔さんが…産気付いて…」
「マジか!?」
潤マネ「それが…出血が酷いみたいで…ちょっと手こずってるみたいで」
「は…!?」
潤マネ「早く行きましょう。車出して来ますから直ぐに来て下さい」
そのままマネージャーは足早に立ち去った。
「出血…?嘘だろ…何で…」
宮川「潤。おい潤」
「検査では何とも…」
宮川「潤!!」
いきなり頭に衝撃が走った。
「いってぇ…」
宮川「『いってぇ』やあらへんがな!しっかりしぃ!親父になるんやろ?気をしっかり持ち!櫻井くん一人で頑張ってんねやろ!支えるのが夫の役目や!」
「………大輔さん…」
宮川「分かったら早く行き。大丈夫や。櫻井くんも赤ちゃんも」
「………ありがとうございます!」
宮川「産まれたら教えてな。可愛い赤ちゃんとべっぴんの櫻井くんの顔見に行かせてもらうわ」
笑顔で俺の肩をポンと大輔さんは叩いた。
「はい!」
翔…待ってろ。今行くから!
俺は大輔さんに頭を下げ、その場を駆け出した。