第63章 修復
翔父「翔」
父さんに呼ばれて顔を上げる。
翔父「黙ってても分からないぞ。お前はどうしたいんだ」
「………俺は…」
潤「………」
「もう少し…話し合ってみたいと思う」
潤「翔…」
潤が驚いた様な…嬉しそうな瞳で俺を見つめる。
「でも…もう少し離れて暮らしたい。それじゃ…駄目かな」
潤「ありがとう。でも…やっぱり戻って来れないか?翔と…太陽と一緒に居たい」
潤の手が伸び、俺の手に重なった。
でも俺はその手を握り返す事も出来ない。
ジッと潤を見つめ返す。
潤の瞳。
唇。
直ぐにでも抱き着いて…あの唇にキス出来たら。
そんな風に思うのに。
やっぱり…同時に浮かぶ彼女の顔。
そして…斗真の唇の感触。
「一緒に居るとまだ冷静になれない。太陽には…どっちと居たいか聞いて決めさせる。子供にそんな事酷だけど…でも太陽がどっちと居たいか…決めさせたい」
潤「駄目だよ翔」
「………」
潤「子供は…母親と居るべきだ。もし聞いたとしても翔と一緒に居たいって言うよ」
「潤…」
潤「それに…太陽と離れるのは無理だろ?」
「無理だけどでも…潤だって…」
潤「俺は耐えないといけない。それだけの事したんだ。でも…ちょくちょく逢いに来てもいいか?翔にも…家に来て欲しい」
「うん…分かった」
潤「お義父さんお義母さん。暫く2人を頼みます」
潤が前を向いて頭を下げた。
翔父「………分かった」
翔母「私達は…構わないわ。貴方達に今離れる時間が必要なら」
潤「すいません。本当にご迷惑かけます」
潤と一緒に俺もしっかりと頭を下げた。