第62章 Distance
ー斗真sideー
翔くんが目を閉じて直ぐに規則的な寝息が聞こえてくる。
俺は黙って目の前の寝顔を見ていた。
「こんな事に…なるなんて…」
少し見ない間に随分痩せた。
痩せたと言うよりやつれたと言った方が当てはまるんだろう。
翔くんの寝顔はかなり疲れて見えた。
こんなになるまで翔くんを追い詰めた潤が許せない。
不妊の事で悩んでた翔くんにこんな追い討ち。
何よりあの宮城で…そんな事が起きてたなんて。
彼女と潤を2人きりにしたのが間違いだった。
「ごめんな…翔くん…」
そっと柔らかい髪の毛を撫でる。
翔くんにまた笑って欲しい。
その為なら何でもしたい。
でもどうすればいいのか。
「愛してるよ…翔くん…」
ゆっくりとその柔らかい唇に自分のを重ねた。
「愛してる…翔くん。俺のものになってくれ…愛してる…」
何度も呟きながら…翔くんの身体を抱き締めた。