第62章 Distance
ー翔sideー
カメラに向かって歌ってる間も頭がぼんやりして。
周りに迷惑掛けたくなくて必死に歌った。
何とかミスもなく、監督からもOKの声が掛かる。
カメラが回ってる間は気が張る分、監督のその声でドッと疲労が襲ってくる。
4人がゾロゾロと動き出すと、カメラの向こうに居た斗真が駆け寄って来る。
「え…何?」
斗真とはまだ義務的な挨拶しかしてなかったから…驚いて下がってしまった。
斗真「翔くん。具合悪いの?」
「え、あ、いや…」
言葉を濁してるといきなり姫抱きされた。
「と、斗真…!」
斗真「監督。今から少し空き時間ですよね」
監督「え?あ、そうだな」
斗真「失礼します。翔くん横になろう」
「あ、歩けるから…」
斗真「いいから」
そのまま斗真が歩き出す。
大勢のスタッフ達が…目を丸くしてスタジオを出て行く俺達を見てる。
恥ずかしくて死にそうだった。
潤「斗真!」
叫びながら追い掛けてくる潤には目もくれずに斗真は楽屋へと向かって行った。