第62章 Distance
翔がパプアニューギニアで熱を出したのは…その後マネージャーから聞いた。
メンバーに心配かけたくないから言うなと翔に言われたから…言えなかったと頭を下げられた。
現地で病院にも掛かったけれど熱はなかなか下がらないらしい。
昨日帰って来て泊まったホテルでも寝込んでたらしい。
まだマシになった方だって言ってたから…かなり悪かったんだろう。
そして俺には…翔の体調の事だけでなく、もうひとつの課題が残っている。
カメラに向かって演技している男。
斗真。
あの日以来…俺達が顔を合わせるのは初めてで。
連絡も取ってなかった。
俺達の新曲にドラマ部分が入る事は事前に聞いていた。
でもそれは斗真ではなく別の役者さんだった。
数日前、急な体調不良でキャンセルになり、代わりに斗真がスケジュールを開けて出演してくれる事になった。
監督「はい、オッケー」
カットが掛かるとシリアスな演技をしていた斗真に笑顔が戻る。
監督と雑談しながらチェックをするその背中をジッと見ていた。
ふと気配を感じて振り返ると…ギリギリまで横になっていた翔がスタンバイしていた。
「翔…大丈夫?」
翔「平気だから」
ボソッと言いながら翔がにのの隣に移動してしまった。