第62章 Distance
「潤止めてっっ!!」
暴れても潤は止める事なく俺のシャツを捲り、脱がせようとした。
こんな事したくない…したくないのに…。
沸き上がってくる恐怖。
俺は必死に潤の身体を押し返した。
「あいつと同じ事しないでっっ…!!」
そう叫ぶと…潤は漸く正気に戻ったかの様に動きが止まる。
潤から離れ乱れた服を戻した。
潤「ごめ…俺…何て事…」
俺に伸ばしかけた手を潤は引っ込めながら立ち上がる。
潤「ごめん…ごめん翔…」
「………大丈夫だから…」
潤「俺が…話し合いたかったのは…これからの俺達の未来で…。まさか翔が………別れたいなんて…ごめん…取り乱した…」
「………ごめんなさい」
潤「俺は…別れたくない…」
「このままだと…いがみ合って憎しみ合って…俺達本当に壊れる。そうなりたくない。お互い大切に思える今の内に…離れよう。そうすれば…いい関係を築けるかもしれない」
潤「いい関係って…何。夫婦じゃなくなる事がいい関係?嫌だ。絶対嫌だ。俺の奥さんでいてくれ…頼むよ…」
情けない程涙が出た。
それでも…俺には離婚する気にはなれない。
こんなに長い時間を共に過ごして愛し合ったのに…別れていい関係を築けるとは思えない。
翔「俺…これ以上潤と居ると壊れる…」
「翔を失ったら俺が壊れる…お願いだ…許してくれ…」
翔「ごめん…無理…」
「翔…!」
俺を振り払う様にして翔は出て行った。