第62章 Distance
久し振りに感じる翔の体温と…匂い。
初めて翔を抱き締めたのは…まだ中学生だった。
まだあの時はお互い小さくて。
『翔くん』
何度も呼びながら…追い掛けてたっけ。
翔「潤」
「何…?」
翔「………俺にも…責任あるんだよね…」
「責任…?」
翔「………潤の赤ちゃんが欲しかった。欲しかったから…潤の気持ち考える暇なんて無かった。早く欲しかったんだ。俺達より後に結婚したにのと智くんはもう3人居る…。早く作らないとって…俺思ってた」
「翔…翔は悪くないんだ」
翔「早く作る事が…潤の為だって…太陽の為だって思ってた。思い込んでた。でも…俺のエゴだったんだよね。『太陽だけでいい』って言ってくれた潤の気持ち…『虎鉄がいるよ』って言ってくれた太陽の気持ち…考えてなかった。俺にも…きっと責任が…」
「そんな事ない!全ては俺の責任なんだ!俺が100%悪い。翔は悪くないよ。俺のせいなんだ…」
翔を見つめながら訴えた。
翔のせいなんかじゃない。俺の…!
翔「そう思わないと…駄目なんだよっっ…!」
「翔…けど…」
翔「じゃあ俺のどこが駄目だった?魅力が無くなった?愛が冷めた?飽きた?何がいけない?」
俺の腕を強く掴みながら…涙を溢しながら翔はしっかりと俺を見つめ返した。
翔「どうして…どうしてっっ…!」
翔の悲痛な叫びがリビングに響いていた。