第62章 Distance
太陽が部屋に戻るのを見届けた後、振り返った翔と目が合う。
直ぐに目を反らし、太陽の食器を片付け始めた。
翔「早く食べてくれない?片付けたいんだけど」
「あ、ごめん…」
急いで残りを掻き込むと洗い始めた翔の隣に立った。
翔「そこに置いといてよ。立たれてると邪魔」
「………翔」
翔「………何」
「ちゃんと…話し合わないか」
翔「………」
「俺がこんな事言う資格無いのは分かってる。でも…このままじゃ駄目だよ俺達」
翔「………」
「………来週には日本発つだろ。この状態のまま…離れたくない。太陽も…気付いてる」
手を止めずに茶碗を洗う翔の横顔は…泣きそうだった。
翔「………分かった」
「ありがとう」
そっと翔の肩を叩き、ゆっくりと離れた。
太陽「ママー!着替えたよ」
翔「オッケー。よし、行こうか」
太陽が戻ってきたタイミングで翔が洗い物を終え、太陽の元に駆け寄る。
太陽「パパ行ってきます!」
「行ってらっしゃい。気を付けてな」
手を振って太陽を見送った。