第62章 Distance
太陽「パパおはよう!」
「おはよう」
太陽の隣に座ると翔が朝食を並べてくれる。
「ありがとう」
そう言うと翔は静かに頷いて離れた。
そのままキッチンを出て行くと洗濯籠を持ってベランダに出て行った。
太陽「ねぇパパ…」
「ん?」
口をモグモグさせながら太陽が俺を見つめる。
太陽「ママといつまでけんかしてるの?」
「いや…喧嘩はしてないよ?」
太陽「………うそつき。パパもママもうそつき」
「太陽…」
太陽がぷぅと頬を膨らませた。
太陽「けんかしてないならなんでずっといっしょにねないの?ママぼくのへやでぼくとこてとねてる」
「………」
太陽「ママ…ずっとわらわないもん」
「………太陽…」
話しながら…俺達の視線が自然にベランダに向かう。
黙々と洗濯物を干してる翔の後ろ姿。
俺の愛する奥さん…。
太陽の大好きな…ママ。
毎日が幸せだった。
笑顔が溢れてた。
夢見ていた通りの幸せを…俺が壊してしまったんだ。
「………俺のせいだ。ママが…笑わなくなったのは」
太陽「………パパのせいなの?」
「うん。ママに酷い事…してしまったんだ。それでも…許して欲しくて…ずっと謝ってる最中」
太陽「………早く仲直りしようよ。ディズニーランド行きたいもん」
「ははっ、そうだな。早く許して貰える様にするよ」
ガシガシと太陽の髪を撫で付けると笑いながら椅子から降りた。
翔「太陽食べた?」
太陽「うん」
翔「よし、じゃあ鞄持っておいで」
太陽「はーい!」
バタバタと部屋に走って行く太陽の後ろ姿を…翔と黙って見つめていた。