第62章 Distance
ー潤sideー
朝日の眩しさで目が覚める。
顔をしかめながら身体を起こし、いつもの癖で隣のスペースを見てしまう。
「………ふ…」
そこに居る筈も無いのに。
自分のアホさ加減に少し笑いながらベッドを降りてカーテンを開けた。
「………いい天気だな…」
ガチャリと扉の開く音がして振り返ると翔が入って来る。
翔「おはよう。起きてたんだ」
「あ、うん。おはよ。今目が覚めて…」
翔「そう。ご飯出来たよ」
「分かった。ありが…」
最後まで聞かずに扉は閉まってしまった。
遠くなっていく足音。
………あの日から壊れてしまった俺達の関係。
出て行こうとする翔を必死で引き留め、翔も出て行く事は止めてくれた。
『周りには迷惑をかけない』
翔に言われた言葉の通りに俺達は務めた。
けれど2人で居る時に見せる翔の視線。
完全に俺を拒絶した瞳。
会話をも拒否されていた。
俺のせいだって事は分かってる。
出て行かないでくれただけで感謝しなければいけない。
でも…チャンスが欲しい。
ほんの少しでもいい。
翔と話したかった。
いつまでもこのままじゃいけない。
翔も…きっとそう思ってる。
「ふぅ…」
顔をパシパシ叩きながら俺は寝室を出た。