第61章 Confession
一睡も出来ずに気が付けば朝を迎えていた。
ソファーに項垂れたまま朝のワイドショーを観ていると寝室の扉が開く音がした。
リビングの入口に目をやると、疲れきった表情の翔が入ってくる。
きっと翔も…眠れてない。
「………おはよう…」
翔は答えずにキッチンへと入り、朝食の仕度を始めた。
「………翔」
翔「俺に近づくな」
視線を向けずに放ったその声は…掠れていて。
泣き張らした目を見ると…泣いていたんだと思う。
「何度だって謝るから…だから…話をして欲しい」
翔「………」
キッチンに響くのは俺の声と包丁の音だけ。
「本当にごめん。ごめんなさい。だからこっち向いて…話を…」
翔「煩いんだよ!!」
ダァン!と包丁がまな板に叩き付けられる。
翔「俺に近づくな!顔見たくない!声も聞きたくない!!」
「………ごめん…」
翔「何度謝られても変わらない!お前がした事は変わらないんだよ!!」
「………分かってる…」
翔「だったら黙ってろよ!朝メシ作らせろ!さっさと食って仕事行けよ!!忙しいんだよ主婦は!ボンクラの旦那と違って浮気する暇なんてないんだからな!!」
「………」
翔「はぁっ、はぁ…」
肩で息を切らしながら…翔がまた俺に背を向けた。