第61章 Confession
記者「ところで松本さんは?」
足を速めてもそれでも彼は着いて来る。
答えずにマンションのエントランスに辿り着いた。
記者「奥さんと息子さん残して夜遊びですか?酷い旦那さんですねぇ」
「頼むから帰って下さい。警備の方呼びますよ」
記者「酷いなぁ…教えてあげようとしてるのに。旦那さんの居場所」
「知ってます。友人と飲んでるんです。誰かも聞いてますから」
記者「へぇ…櫻井さん心が広いんですね」
何か言いたげな記者の顔。
「別に普通ですから…」
記者「そうですか。元カノさんと自宅で2人きりの飲み会も普通なんですか?」
「………は…?」
記者「ははっ、やっぱり知らないんだ。今彼が何処に居るか」
笑いながらデジカメを出し、操作を始める。
元カノ…?
ドクドクと俺の心臓が高鳴った。
記者「ほらこれ。元カノさんのマンション。誰かは分かるでしょ」
「………」
写し出されたのは…あるマンションに入って行く潤の姿。
前に聞いた事がある…彼女のマンション。
そこに潤が入る姿。
記者「もう1人相棒張らせてもらってるんですよ。出て来たら連絡しろって。まだ無いって事は…まだ出て来てないみたいですね」
「………何かの間違いです…」
記者「そんな事ありませんよ。こちらもこれで飯食ってるんでね。適当な事はしたくありません。裏も取ってありますから。どうやら…宮城でコンサートされたでしょ?その時も井上さん…旦那さんの泊まってるホテルに泊まったみたいです」
「………は…?」
記者「櫻井さん一度こちらに戻ってますよね?その日に」
目がチカチカする。
足が震える。
信じない。
信じたくない。
でも…そんな…
そんな俺の様子を察したのか、記者は楽しそうに俺にカメラを向けた。