第61章 Confession
目を開けると…唇を噛み締めた真央が俺を睨んでいる。
瞳からは涙が溢れていて。
あの日。
真央に別れを告げたあの日。
真央は黙って頷いた。
『櫻井さんなら仕方がない』
『これからも友達でいよう』
そう言われた。
握手をして…笑顔で別れた。
安心した。
許して貰えたんだと…真央に感謝しながら翔の元へ戻った。
あの時の真央の本当の気持ちなんて考えもせずに。
あの時の本当の真央が…今目の前に居る気がした。
「ごめん…真央」
真央「………私…貴方が初めてだったのよ」
「………うん…」
真央「子供の時から仕事して…ずっと仕事と勉強だけだった。初めてデートしたのも…手を繋いだのも…キスも…初めて………夜を過ごしたのも」
「………うん…」
真央「全部全部…貴方が初めてだったの。潤くんが…私の全てだった。それなのに…」
「本当に…ごめん…」
真央「どうして…私と付き合ったの?どうして『俺と付き合ってくれ』なんて言ったのよ!」
真央の手が俺のシャツを掴む。
「答えなさいよっ!」
「好きだった。本気で好きだった。でも…」
真央「………櫻井さんには…勝てなかったって…事?」
黙って頷くと…襟元を掴んだまま真央が胸元に顔を埋めてくる。
真央「今でも…そうなの…?」
「………ごめん」
真央「馬鹿…馬鹿…じゃあ何で抱いたの…私を抱いたのよ…どうして突き放さなかったのよ…」
襟元を掴む腕に力が入る。
バシバシと力なく叩かれた。
俺はただジッと…その場に立ち尽くしてるしかなかった。
「ごめん…真央」
真央「………もう聞き飽きた…」
そのまま真央に…強く抱き締められた。