第60章 Prelude to collapse
潤「翔」
「………はい」
片手で俺の手を引き寄せながら…もう一方の手が俺の頬に伸びる。
潤「………ごめんな」
潤の親指がそっと唇に触れた。
潤「不妊治療の事で…あんな酷い事言って…勝手に翔と気まずくなってた。こんな事になったのは俺にも原因がある」
「そんな事…」
潤「メール気付かなくてごめん。慌てて帰って来て…カッとなった」
「潤…」
潤「ちゃんとやり直そう俺達。翔を愛してる。離したくない。誰にも…渡したくない」
「俺だって…潤を愛してる。だから…離れていくのが怖かった…誰かに相談したくて…そのタイミングで斗真から電話が…。だから…家に呼んだんだよ。でも軽率だった。ごめんなさい」
潤「うん。俺もごめん…許して欲しい」
「許すも何も…」
潤「許してくれる?」
「………うん」
そして潤に引き寄せられる様にして俺達は強く抱き合った。
久し振りの潤の腕の中。
「潤…」
潤「翔…」
潤の感触。潤の匂い。
やっぱり…俺は潤が居ないと駄目なんだと再認識する。
潤「翔…顔上げて」
ゆっくりと顔を上げると潤が微笑んだ。
そしてそのまま…俺達の唇が重なった。