第60章 Prelude to collapse
斗真「翔くん…ごめん…」
俺の涙がやっと止まる頃、斗真が俺から少し離れた。
斗真「ごめん…気持ちが先走った。もう二度と…しない」
頬を伝う涙を斗真の親指が優しく撫でる。
「斗真…ごめんなさい。俺は…潤の事…愛してるから…」
斗真「分かってる。潤だから…俺も翔くんの事諦めた。でも…覚えておいて欲しい」
「………何…?」
斗真「もし…潤と居るのが辛いなら。もし…潤の事…忘れたくなった時が来たら。その時は…俺が居る。利用してもいい。翔くんになら利用されてもいい。だからその時は…いつでも言って。その時は俺は…翔くんの側に居るから」
「………でも…斗真…」
斗真「………いい?」
「………うん…」
斗真「………ありがとう翔くん。ごめんな」
優しいキスが…額に降りてくる。
そのまま斗真が離れた。
斗真「じゃあ…帰るね」
斗真がそう告げた時、ガチャッと玄関の扉が開く音がした。
潤「翔!斗真!居るのか?」
「え…」
バタバタと大きな足音が近付き、リビングのドアが開いた。
「潤…」
斗真「………」
潤「………何してんだ」
ソファーの上で寄り添っているその姿を…潤に見られてしまった。