第60章 Prelude to collapse
「ん…んっっ…」
斗真の腕の中でもがいても…力で勝てなくて。
頭を押さえられた俺はそのまま斗真のキスを受けるしか出来なかった。
「んんっっ…」
ゆっくりと…斗真の舌が口内に入って来る。
「んん…ん…ふ…」
息づきの合間に漏れる声。
斗真の服を掴むと…そのままソファーに押し倒される。
「んんっっ…」
ソファーに押さえ付けられ、舌を絡ませながら斗真の手が俺のシャツの中に入って来た。
ゾワッとした感覚が…身体中を駆け巡る。
「んゃ…」
バシバシと斗真の胸を叩きながら足をバタつかせると…漸く斗真の唇が離れた。
「っっ…止めて…」
斗真「翔くん…俺は…」
「ごめんなさい…ごめんなさい…俺は…俺は潤が…潤がっっ…」
言いながら…涙がポロポロと溢れてきた。
斗真「………ごめん…もうしない」
「ごめんなさい…」
斗真「謝らないで…俺が悪いんだ。翔くんの笑顔が見たかったのに…」
そして斗真は…優しく俺を抱き締めてくれた。
さっきとは違う…優しい抱擁だった。
「っっ…ぐすっ…」
俺は…止まらない涙をいつまでも斗真の腕の中で流し続けていた。