第60章 Prelude to collapse
太陽「ママ!このカレー美味しい!」
「ほんと?ありがと」
太陽「パパもぜったいすきなのになぁ」
「そうだね。明日食べてくれるよ」
親子2人の夕食。
潤と上手くいかない今俺が笑顔になれるのは太陽の前だけ。
大切な…俺の1人息子。
虎鉄「にゃー」
太陽の足元でご飯を食べていた虎鉄が鳴いた。
太陽「こてたべたの?おいで」
太陽が手を伸ばすと虎鉄が膝まで上がって来る。
拾った時はあんなに小さかった虎鉄ももう大きい。
それでも太陽が大好きなのは相変わらずで。
家に居る時はいつも一緒だった。
「………ねぇ。太陽」
太陽「んー?」
「………ママね…きっと…太陽に弟か妹。作れそうにないみたい」
そう言うと太陽が虎鉄を抱っこしたままこちらを見つめた。
太陽「ぼくはいいよ。こてがいるもん」
「………太陽…」
太陽「ね、こて」
虎鉄「にゃー」
「………ありがと」
潤と同じ笑顔で俺に微笑む太陽。
ありがとう…太陽。
こんな子供にまで気を使わせて…駄目だな俺。
しっかりしなきゃ。
「さて。太陽お風呂入っておいで。お母ちゃん片付けるから」
太陽「はぁい。いこうこて!」
太陽と虎鉄がリビングを出て行ったと同時に俺のスマホが音を立てた。