第60章 Prelude to collapse
太陽「パパー!パパ!」
「んー…」
元気のいい声に目を開けると太陽が笑顔で俺を見つめながらベッドを叩いていた。
太陽「おはようパパ!」
「はよ…もう朝か…」
太陽「がっこういってくるね!」
「おう…行ってらっしゃい。見送れなくてごめんな」
太陽「パパのおかお見れたからいいよ!行ってきます!」
「気を付けてな…」
ベッドから手を振り、太陽を見送った。
暫くすると、翔の足音が玄関に向かい、2人の話し声が聞こえた。
玄関が閉まる音と共に訪れる静寂。
俺はそのまままた直ぐに意識を手放した。
次に目が覚めた時はもうお昼だった。
ノソノソと寝室を出ると翔はリビングでくつろいでいた。
普段は…後ろから抱き着くのが当たり前で。
たまに驚いて振り返る翔にキスして。
そのまま…いちゃいちゃしたりしていた。
でも今は…その背中に触れる事が苦しい。
宮城で翔を抱こうとしたあの時…真央が頭に蘇った。
真央の感触。
声。
俺の腕の中で乱れる翔と真央が重なってしまった。
俺にはもう…翔を抱く資格なんてないのかもしれない。
翔が1番苦しむやり方で…翔を裏切ってしまった。
ごめん…翔…。
俺は翔の背中に何度も謝り続けるしか出来なかった。